欧州トップチーム「EF・オートリー・キャノンデール」に加入した垣田真穂選手(早稲田大学/楽天Kドリームス)が、9月15日フランスのGPイスベルグ(UCI1.1)、18日ベルギーのGP・ド・ワロニー(UCI1.1)に出場。どちらのレースでも貴重な経験を得ながら、完走を果たしました。
初戦となったGPイスベルグは、細かいアップダウンとフランス特有の道幅の狭いコースやたくさんのコーナーが設定された131.6kmのレース。チームはジャクソン選手の集団ゴールスプリントを狙う作戦で、チームから垣田選手に与えられたオーダーはレース序盤に有力チームのアタックに反応すること。チームも垣田選手本人もどこまで走れるのかわからない、手探り状態でのスタートとなりましたが、垣田選手はしっかりとチームメートたちの側でレースを進め、100km地点を過ぎた登坂区間でメイン集団からドロップ。第2集団でのフィニッシュとなりました。終盤にできた有力選手による逃げが僅差で逃げ切る展開となり、ジャクソン選手はメイン集団のトップとなる4位でフィニッシュ。勝利には届きませんでしたが、チームとして良い連携が取れ、垣田選手は初めてのプロレースとは思えないような、集団内での走りや序盤の仕事ぶりに高評価を得ました。
中2日で挑んだGP・ド・ワロニーは、序盤と終盤に登坂区間が設定され、最後は石畳に覆われた城砦を駆け上がってフィニッシュする139.39km、ベルギー南部の丘陵地帯を舞台にしたレースです。彼女へのチームオーダーは前戦と大きくは変わりませんが、序盤の登坂区間を越えたあと、20km地点から始まる平坦区間での有力チームのマーク。登坂力に不安があった垣田選手、実際に最初の登坂で集団から遅れてしまう状況になりましたが、監督の「遅れてしまっても、その後集団の速度が緩んだり、復帰できるチャンスはあるだろうから、諦めずに前をめざすように」という言葉どおり、下り区間等を使って無事に集団復帰。チームメートたちと一緒にレースを進めることに成功します。その後、終盤の登坂区間でフィニッシュに向けて加速するメイン集団から遅れ、初めての長い石畳に苦戦をしながらも諦めることなく、最終走者として無事にフィニッシュラインを越えました。
今後、垣田選手は日本代表として9月下旬にスイスで開催されるロード世界選手権、10月中旬にデンマークで開催されるトラック世界選手権に出場予定。非常にタフなスケジュールとなりますが、世界で活躍するトッププロを目指して、19歳の挑戦は続いていきます。
垣田真穂選手のコメント
パリオリンピックまで、ずっと室内のヴェロドロームでトラック競技のトレーニング、レースに明け暮れていた自分にとって、ヨーロッパのロードレースは新鮮でした。しばらくロードレースから遠ざかってしまっていたため、最初は不安も大きかったですが、憧れていた欧州のプロレースに、EFオトリー・キャノンデールのメンバーとして、出場することができて本当に嬉しかったです。
実際に走ったレースはレベルが高過ぎて、何もできなかったんですけど、そのなかでも与えられたミッションを少しはできたのかなって思います。とくに上りのスピードが速すぎて、難しかったです。以前にラブニールを走った経験から、少しでも前に行かないと、と思っていましたが、自分が前に行きたいなーって思うような場面で、気づいたらもうみんな前にいて、ポジション取りの上手さにも驚きました。
ロードはずっと速い。トラックはちぎれてしまっても「次の周もあるかな」と思えるけど、ロードはちぎれてしまったら終わりで、ずっと速いスピードを維持しないといけません。今回のロードで経験したスピードは、今後トラック競技でも生かしていけそうだなって思います。
今回は何もできなかった。だからこそ、もっと何かこのレベルで走れるようになりたい、そうしたらもっと楽しくレースができるのかなって思います。でも、ロードレースは楽しかったです。帰ってきた時にチームのみんなが温かく迎えてくれたときに「あぁ、ちょっとは走れたのかな」と思って嬉しくなりました。もっとチームに貢献して、みんなと一緒にレースがしたいなって思いました。
英語が話せないにも関わらず、チームメートやスタッフはいつも優しく接してくれて、自分のために日本語で話してくれたりもして、最初は怖くて不安とかもありましたが、みんな本当に優しくて、とてもいいチームでした。彼女たちと一緒にレースを走ることができて、とても良かったです。