4月11日〜18日までトルコ中部〜南部にて開催されたツアー・オブ・ターキー(UCIプロシリーズ)に参戦したNIPPO・プロヴァンス・PTSチーム。UCIプロシリーズの本大会、UCIコンチネンタルチームが参加できる最高カテゴリーの大会で、最高峰チームUCIワールドチームも出場する。今年は3つのUCIワールドチーム、15のUCIプロチームが出走。そのなかで設立1年目の育成チームが主催者招待を得られたことは、とても名誉なことだった。
「この大会は自分たちにとってのツール・ド・フランス。本格的なステージレースであり、格上チームがたくさん参加している。自分たちがここから学び、得ることはたくさんある!」
今大会では新規加入したドイツのトラック競技スペシャリストでもあるカルヴァン・ディク(21歳)と、スイスのシクロクロスチャンピオンであるケビン・クーン(23歳)がロードシーズン初戦としてチームに合流。また序盤ではエンリコ・ガスパロット監督も、マルチェッロ・アルバジーニ監督とともにチームを指揮した。
粉雪舞うなかでの開幕スプリントステージ
当初、奇石や洞窟住居で有名なカッパドキアでの開幕が予定されていたが、季節外れの大雪によりカッパドキアでの開幕ステージはキャンセル。第2ステージが開催されるコンヤでの代替ステージが設定され、大会開幕前夜に降りしきる雪のなか、一向は300km離れたコンヤへと向かった。慌ただしい移動となったが、結果的に夜も雪は降り続き、翌朝のカッパドキアは積雪で身動きが取れない状態だったとの報告、主催者の迅速な判断は正しかった。
代替開幕地となったコンヤは正午でも気温は3度。積雪こそないものの、凍えるような寒さと時折チラチラと粉雪が舞うなか、荘厳なモスクの前で大会は開幕した。初日は平坦基調の72kmのステージで集団ゴールスプリントの展開が濃厚。山岳ステージの第5ステージを除いて、また強豪チームの顔ぶれからも集団ゴールスプリントの展開が多く予想される今大会。チームのスプリントの布陣はトラック競技の経験豊富で位置取りが上手なカルヴァン・ディクを牽引役に、織田聖が結果を狙う。とはいえ、格上トップチームが多くのスペシャリストを携えて、組織的にスプリントを組み立てる状況下、チームとして対等に勝負をすることはできない。いかにうまくスプリントまでエースのパワーを温存できるか、チーム内での連携が機能するか、世界トップのスプリンターやリードアウトの動きを学ぶことができるか、そしてエースが力を出し切り、どこまで上位に食い込んでいけるか(具体的な目標はトップ10!)、そのような内容が、挑戦者としてのチームの現実的な目標だった。
そして迎えた第1ステージは、予想どおり、集団ゴールスプリントの展開を迎えたが、終盤でディクと織田の連携がうまくいかず。織田の40位が最高位だった。シクロクロス競技の経験豊富な織田をはじめ、寒さに強い選手が多いことが心強い。
第2ステージもコンヤ中心部の同じスタート/フィニッシュ地点だが、初日よりも距離が延び、山岳ポイントが追加される。それでも、スプリントの展開が予想されるステージだった。そして最初の山岳でシュモン・トラッチが8選手の逃げに乗ることを成功させる。「逃げに乗ること」もチームの大きな目標だ。アルバジーニ監督も上機嫌にチームカーから無線で選手たちに指示を送る。寒さも初日と比べると少し和らいできた。
そして迎えたゴールスプリント。昨日と同じようにディクと織田が連携しながら動く。そして最終コーナーでは勝者となる元世界王者のマーク・カヴェンディッシュの姿をしっかりと捉えた織田だったが、最終盤に中切れが発生。それをカバーすることはできず、しかしスプリントで力を出し切り、23位でフィニッシュ。次へとつながる好感触を得ることができ、チームとしてもトラッチの逃げと合わさり、良いステージとなった。
太陽の光を求めて、地中海沿いへ南下!
第3ステージは今大会最長距離となる212kmのステージ。この距離のレースはチームにとって経験がなく、織田も「練習で数回、200kmを超えて走ったことはある」程度。また内陸の山岳部から地中海まで高低差1500mほどを一気に下っていく特徴的なコースプロフィールのステージだった。気温差も20度ほどある。
逃げに乗ろうと序盤から奮闘するものの、なかなかタイミングが合わず。ロングステージであるものの、集団ゴールスプリントの展開が濃厚であるため、チームは再びスプリントに照準を絞る。しかし、中盤の山岳で織田がパンク。集団復帰を果たしたものの、脚を使ってしまったこともあり、チームメートたちに「今日はスプリントは無理!」と告げる。リゾート地アランヤのフィニッシュは石畳が敷かれ、道幅が狭い。長く伸びたスプリントで単騎で挑んだディクが29位でフィニッシュ。織田は明日からのステージに備え、集団後方にて無事にフィニッシュした。