8月14日に開幕したシーズン最後のグランツール「ブエルタ・ア・エスパーニャ」。北部のブルゴスから荒涼としたスペインの大地を南下し、バレンシア近郊にて開催された第6ステージで、マグナス・コルトが逃げ切り勝利を挙げた。
「残り150mのところで後ろを振り返ると、ログリッチが迫ってくるのが見えた。全力でスプリントして、運よく彼を後ろにつけることができた」。プリモシュ・ログリッチの追い上げにもかかわらず、コルトはブエルタの最もエキサイティングなステージで勝利を収めた。
「マグナス・コルトが成し遂げたことは、プロトンのなかでたった一人の選手にしか成し遂げられないこと」。チームCEOのジョナサン・ヴォータースはこう語る。ヴォータースは、コルトがプロ選手たちのなかで過小評価されている選手の一人であることを知っている。このスプリンターは、これまでに何度もステージ優勝を果たしている。28歳のプロは、2018年のツール・ド・フランスでの優勝や、2016年のブエルタ・ア・エスパーニャでの2回の優勝などの功績がある。現在のチームとは、2020年に2つの区間勝利を獲得し、今年のルート・ド・オクシタニーでは、最後の1キロでのアタックを成功させてステージ優勝を果たした。
コルトはスプリンターとしてのスキルが高く、それが彼の唯一の特技だと思っていたとしても、それは妥当なこと。しかし、今日のレースでは、彼がいかに多才であるか、そしていかにプレッシャーに強いかを証明してくれた。
「今回のステージは、僕にとっては特別なものだ。僕が勝つステージはいつもスプリントだったけど、他の地形でもスプリントができることを証明できたし、今日のように逃げから勝利することができてとても嬉しいよ」とコルトは語った。
第6ステージのコースは158.3kmで、スタートはローリング、その後は平坦な道が続いた。マグナスはこの日、風と戦いながら強力な逃げ集団を形成し、そのなかの誰かが勝利すると思われていた。しかし、残り100kmのところで、集団は別のギアを入れ、急速に差を縮めていった。最後の登りが迫るなか、誰がステージ優勝をするかは誰にもわからない状況になった。
最後の登りは、3級山岳、勾配は9.4%で、ブエルタの覇者であるプリモス・ログリッチをはじめとする有力選手たちが追い上げると想定され、またそのような展開になったが、誰もマグナス・コルトに勝てなかった。
忘れられない勝利を収めたマグナスとチームに乾杯。
今年のブエルタはまだ1週目、この先どんなレースが待ち受けているのか楽しみだ。