第108回ツール・ド・フランスが7月18日、パリにて閉幕した。EFエデュケーション・NIPPOは、リゴベルト・ウランの個人総合成績を最大の目標とし戦った。個人総合2位という順位で3週目を迎えたが、最後、ピレネー山脈を舞台とした山頂フィニッシュが設定された第17、18ステージでウランは失速。ライバルから遅れを取り、個人総合成績を落としたが、それでもウランはチームの目標であった総合成績トップ10を維持した。ツール・ド・フランスは、そんな個人総合成績の浮き沈み、悲運のクラッシュ、過酷な上り坂などがあったとしても、世界で最も素晴らしい自転車レースであることに変わりない。
グランドフィナーレとなる最終日、選手たちはモンヴァントゥーの連続した上り、3つの山頂フィニッシュ、2つの個人タイムトライアルなどを思い出しながら、3週間の長いレースの終着地となるパリへと向かった。チームは初日から最終日まで戦い抜いた。そして観客の声援や街の素晴らしい景色が、彼らを元気づけてくれた。
シャンゼリゼ通りで、チームはツール・ド・フランス完走の喜びを分かち合うことができた。セルヒオ・イギータ、ヨナス・ルッチ、ニールソン・ポーレスは、新人賞ランキングでトップ10に入り、フィニッシュした。ルーベン・ゲレイロは山岳で活躍し、個人総合成績で20位以内に入った。ミケル・ヴァルグレンは、最終ステージを中心とした逃げで果敢な動きを見せ、また、新しいチームメイトをサポートした。マグナス・コルトとシュテファン・ビッセガーはゴールスプリントで印象的な走りを見せ、個人タイムトライアルではトップ10に入った。 そして、リゴベルト・ウランの個人総合成績10位という結果も忘れてはいけない素晴らしい結果だ。そしてチーム総合成績でも2位となり、全21ステージで見せたチームワークと粘り強さを誇りに思う。2021年のツール・ド・フランスでの経験について、選手とスタッフの声を紹介する。
シュテファン・ビッセガー
今、自分はパリにいて、初めてのグランツールを走り終えることができた。かなり疲れているけど、とても幸せでもある。昨日(個人タイムトライアル)の区間5位という結果にも満足している。
ヨナス・ルッチ
大変な3週間だったので、パリに到着できて本当に嬉しい。シャンゼリゼ通りを走り、凱旋門を通過してツール・ド・フランスを完走することは、私にとって常に夢だった。今回、初めてのツール・ド・フランスを完走できて、夢が叶った。まさに完璧なチームメンバーだった。
マグナス・コルト
ここに残った人たちは皆、ここにいられること、そしてツール・ド・フランスが終わることを喜んでいるだろう。みんな疲れているが、最後までやり遂げられたことは素晴らしいこと。確かにいいチームだったし、とても楽しかった。ここでの生活をとても楽しんだ。みんなと一緒にゴールできるのもいいことだと思う。こんな経験は滅多にできないから。
ルーベン・ゲレイロ
ときに悪天候に見舞われることもあり、非常にハードなツアーだったが、一日一日を大切にしてきたので、トップ10入りを目指す私たちにとっては成功したツアーだったと思う。私たちは全てのステージを戦い抜いた。友人やチームメイトと一緒にシャンゼリゼに行くことを楽しみにしている。
セルヒオ・イギータ
ツール・ド・フランスを走り終えることができて、本当に嬉しい。個人総合成績を目指して戦い続けたことは、とても良い経験だった。ステージはとても厳しく、危険もあったが、最大の目標であるパリに到着することができた。ステージで3位になった第14ステージは、私にとって特別な日だが、パリに到着した今日もまた特別な日になった。
ニールソン・ポーレス
このようなクレイジーなツアーでクラッシュせずに済んだことは、非常に幸運だったと思う。リゴをサポートしていた期間もとてもよい時間だった。レース中、チーム全体の雰囲気がとても良かった。リゴはリラックスしたリーダーだし、チームは若いから、みんなレースに興奮していたし、自分たちは毎日“何か”をしていた。最初から最後までレースに参加できて良かったよ。
リゴベルト・ウラン
今年は、ほぼ毎日、調子が良かったし、とても良いチームだったから、表彰台に上がれると思った。最終的には、何が起こったのかわかりませんが、身体が思ったように反応しなかった。本当にひどい一日だった。ツール・ド・フランスは本当に複雑。結局、私たちは人間だから、何が起こったのかについての答えはないが、自分にできることは、良い結果を残すこと、チームメイトに敬意を払うこと、そして次のレースに向けて準備をすることだと思う。
ミケル・ヴァルグレン
パリに到着するのはいつも素晴らしいこと。おそらく今年も45人くらいの選手がパリに到着することができなかった。私も1年目はリタイアし、いつもそのことが頭の中にある。だからツールを終えられて嬉しい。超ハードなレースだったが、チームと一緒にいいレースができたと思う。個人総合成績でウランが2位になったときは嬉しかった。私たちが目標としていたことだったし、大会全体でのチームの走りも良かったと思う。
チャーリー・ウェゲリウス監督
ピレネーでの落胆はスポーツの一部であり、人生の一部でもある。逆境のときにチームがどのように反応するかを見ることができると思う。ピレネー初日にリゴが困難に陥ったとき、彼にはセルヒオがついていたが、2日目はチーム全員がついていた。その後のボルドーのステージで見られた反応(ヴァルグレンが区間7位)や、TTでの反応(ビッセガーの区間5位、コルトの区間9位)と合わせ、このチームが真のチームであることを示していると思うし、私はこのチームを非常に誇りに思っている。
オリジナル https://www.efprocycling.com/looking-back-on-the-tour-de-france/
写真 Gruber Images