先週スイスに到着したチームを迎えたのは、激しい雨と寒さだった。昨年、COVID-19の流行により中止となったこのレースは、再びレースカレンダーに戻り、間近に迫ったツール・ド・フランスの調整レースとして注目を集めている。
若きスイス人ライダー、シュテファン・ビッセガーにとって、今回のツール・ド・スイスは特別なものだった。昨年半ばにプロに転向して以来、初めてのツール・ド・スイスであるだけでなく、彼の故郷であるヴァインフェルデンのすぐ近くでレースが開催されたため、彼にとっては本当の“ホームレース”でもあったから。今年の初めにコースが公開されて以来、目標としていたステージ(第1ステージのタイムトライアル)に、ビッセガーは準備万端で臨んだが、不運にも走行中に雨が降りだし、惜しくも2位に終わった。

グランツールで総合成績を狙うオールラウンダーのリゴベルト・ウランは、シーズン初めはコロンビアに戻っていたこともあり、まだ調子が上がらず第1ステージは非常に難しいものとなった。
「リゴはシーズンインが遅かったので、ツール・ド・スイスにはフレッシュで、とても良いコンディションで臨んだ。第1ステージでは、結果には反映されなかったものの、リゴが最高の状態であることがわかった」とガラテ監督は振り返る。
その後の数ステージで、チームの好調さを表すように、ニールソン・パウルスとウランは徐々に総合順位を上げていった。
第4ステージは激しい雨に見舞われた。このステージは逃げ切りを狙いやすいステージで、スタート直後から速くて激しいレースとなった。ビセッガーがこの日の大きな動きに反応し、彼を含む小さな先頭グループが形成され、後続のメイン集団から大きなリードを築き始めた。数日前の敗北の悔しさもあってか、ビッセガーは果敢に追撃する。
そしてチームメイトのニールソン・パウレスが「誰にも止められなかった」と語ったように、ビセッガーはプロ入り1年目にして見事にロードレースステージで初優勝を果たした。

春から夏へと移り変わるかのようなレースでは、リゴの脚も雪解けを迎えていたようだった。
「最初の上り坂で、彼は自分の脚がいかに優れているかを証明した。フレッシュさと、あらゆるアタックに対する素早い反応が見られた。彼のコンディションが良いことはわかっていたので、第7ステージのタイムトライアルに集中した」とガラテ監督。
タイムトライアルは、オーバーアルプ峠を上り、再びアンデルマットに向けて直下するというもの。リゴがスタートしてからは、登りでのアドバンテージがどんどん大きくなり、フィニッシュではトップのジーノ・マーダー(バーレーン・ヴィクトリアス)を53秒以上も引き離した。この日、リゴはライバルに40秒以上の差をつけてステージを制し、山岳ステージを1つ残して総合2位に浮上した。
レースは最終ステージに最大の山岳区間を残していた。最終日、選手たちは獲得標高3,560メートルという厳しいステージに挑み、ゴッタルド峠の最後の登りでは “All or Nothing”。前回のこの登りでは、2019年に行われたツール・ド・スイス第8ステージでヒュー・カーシーがワールドツアー初勝利を挙げたが、今日は個人総合優勝を狙う選手たちが熾烈な戦いを繰り広げた。リゴは登り口付近で何度もアタックを仕掛けたが、レースリーダーであるリチャード・カラパス(イネオス・グレナディアーズ)を揺さぶることは誰にもできなかった。

今大会では、2回のステージ優勝、リゴベルト・ウランの総合2位、ニールソン・パウレスの新人賞2位、ステファン・ビセッガーのポイント賞、1週間のレースですべてを手中に収め、忘れることのできないツール・ド・スイスになった。
リゴが個人総合2位に入賞したことは、キャリア8回目のツール・ド・フランス、キャリア20回目のグランツールに向けて、コロンビアのベテラン選手が好調であることを示している。
「ここ数ヶ月、彼のレースを見てきたなかで一番の出来だったと思うし、このようなレースを見たのは数年ぶりと言ってもいいだろう」とガラテ監督はレース後に満足そうに語った。「彼は第7ステージでライバルとの差を縮めて勝ったことをとても喜んでいた。この勝利はツール・ド・フランスに向けて、彼に大きなモチベーションを与えてくれるだろう」。
オリジナル記事 https://www.efprocycling.com/a-stellar-week-in-switzerland/
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